特濃の時代

今の横綱はアレだけど、昔の横綱はすごかったのよ、的な体で今日も書く。

◆第43代横綱 吉葉山 (よしばやま)
しばしば「悲運の横綱」として取り上げられることが多い力士。
白鵬が横綱昇進した際に化粧回しを借りたのも、宮城野部屋の中興の祖であるこの吉葉山のものである。
第42代横綱鏡里とは大関昇進が一緒で横綱推挙も近く、おまけに引退場所も同じという似たもの同士だが、その境遇には大きな差がある。

070815.jpg ← 腰を落とした不知火型はさすが

まず、上京した当時、角界に入る意志はまったくなかったにもかかわらず、体が大きかったため人違い高島部屋に連れて行かれ、そこでおかみさんに説得されて入門という悲運。
(ちなみに本来入門するはずだった新弟子は上京を中止していた)

そして新十両場所の直前に召集令状を受け、戦場で2発の銃弾を受けて戦死扱いとされ、部屋の名簿からも消されたが4年後にひょっこり生還するも、見る影もなく痩せ細って相撲どころではない体になってしまった上に、応召(召集に応じる)前の番付が考慮されず一からの出直しになってしまった悲運。

さらに前述の鏡里は双葉山道場(時津風部屋)という当時でもイケイケの大部屋にいたのに対し、吉葉山のいた高島部屋は吹けば飛ぶような小部屋であったため、一門総当り制だった当時は吉葉山の方が圧倒的に強豪と当たるケースが多かったという悲運。

また、普通は13勝も挙げればまず優勝できるものだが、吉葉山が13勝以上を挙げるときはなぜか他の力士もことごとく好調で、14勝1敗の場所ですらも全勝の平幕(時津山)に優勝をかっさらわれたという悲運。
ちなみに、準優勝にあたる力士に贈られる殊勲賞を二場所連続で受賞したのも、実はこの吉葉山が史上初である。

そして、昭和29年初場所の全勝優勝でこのツキのなさをはねのけるも、横綱昇進後は戦時中に受けたケガに泣かされ大成できず、幕内優勝1回のまま引退し、短命横綱と終わってしまった。
以来、不知火型の土俵入りを採用した横綱の短命伝説が始まることになるのである。


◆第46代横綱 朝潮 (あさしお、3代目)
現在渦中にある高砂親方は元大関の朝潮だが、こっちは元横綱の方の朝潮である。
ちなみに「朝潮(朝汐)太郎」は高砂部屋伝統の四股名だが、これまで4代いた朝潮はいずれも大関以上に上がっている。
(2008.3.1修正、コメントいただいた方、ありがとうございました)

その横綱朝潮は、とにかく眉毛が太く胸毛も濃い。
弟弟子の元関脇富士錦がインタビューで曰く、「胸を借りると(朝潮の)胸毛で額が切れるんですよ」とか。

0708152.jpg ← この眉毛はちょっとありえない

189cmの長身ながら体重は140kg足らずとややソップ型の体型だが、胴長で肩幅が広く、両手を広げて腰を落とした状態でズンズン迫ってくる様が、さながら鶏を追い立てるように見えるため「鶏追い戦法」と呼ばれた。
朝潮に捕まったが最後、相手は右上手と左ハズ(脇の下)で両側からガッチリ挟み込まれ、そのまま押し出されてしまうため、朝潮は特に小兵力士には無類の強さを発揮したという。

また、朝潮は5回の優勝のうち4回が大阪場所というジンクスがあったため、「大阪太郎」というあだ名もつけられた。
加えて脊椎分離症(疲労骨折の一種)で腰を痛めていたため、強いときと弱いときの差があまりにも顕著なことから「朝潮は強いのと弱いのが二人いる」とも言われていた。

横綱になってからは休場も多く、短命のまま引退してしまったが、その後は高砂部屋を継ぎ、先代から引き継いだ高見山や、自分の代で入門した朝潮、小錦、水戸泉らを育てた。
また、現役時代はその愛嬌のあるキャラクターが大人気で、週刊少年マガジン創刊号の表紙を飾ったのもこの朝潮である。
ちなみに、ほぼ同時期に創刊されたライバル誌、週刊少年サンデーの創刊号の表紙は長嶋茂雄だったという。

濃いもん勝ち的なルールでもあったのだろうか。


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【2008/03/01 17:05】 | # [ 編集]


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